高等学校「理科1」のてびき-041/133page
す。
このとき、次の反応で二酸化炭素が発生し、石灰水が白濁する。
C+2CuO→2Cu十CO2
図4 黒い粉末と酸化銅の加熱
(5) (1)で取った留出液について、炎色反応と硝酸銀溶液の反応を調べ、留出液が純物質かどうかを考察させる。
4 実験上の留意点
(1) 温度計は三角フラスコの底に接しないようにする。底に触れると高い温度を測定することになる。
(2) しょう油が沸騰したら、静かに加熱し、しょう油が留出液と共に出ないよう注意する。
(3) 留出する蒸気を能率よく冷却するには、ビーカーの水に氷を入れておくとよい。
(4) しょう油を煮つめ、蒸発乾固するとき、煙が出なくなるまで十分に熱する。乾固が不十分だとろ液が黄色〜かっ色になる。ガラス棒でかき混ぜながら加熱すると速く炭化する。
(5) (3)の2)で、ろ液を濃縮するとき、溶液の周辺に白い粉が生じたら、溶液は飽和していろ。これを、温めておいたプレパラートに1滴とると結晶が出やすい。
(6) 結晶を観察する顕微鏡の倍率は10×7=70倍程度でよい。これは、しょう油を蒸発乾固する時間を利用して準備しておく。
(7) しょう油を炭化した粉末と酸化銅粉はよく混ぜて、試験管に入れる。
5 実験結果と考察
(1) 混合物から沸点の差を利用して、純物質を分離できる。(蒸留又は分留)
(2) 蒸留の際沸騰石を入れる理由。(突沸を防ぐ)
(3) 蒸留中のしょう油の温度変化。(濃度が大きくなるにつれて高くなる。沸点上昇)
(4) 留出液の色(無色透明)。炎色反応はない。硝酸銀溶液に対する反応はない。これより、留出液の純度について考えさせる。(留出液中にはしょう油中の揮発性の有機酸やエステルが少量混入している)
(5) (3)のろ液について、炎色反応は黄色(Na+が含有)、硝酸銀溶液との反応では塩化銀の自沈が生ずる。(Cl-を含有)。これよりしょう油中の塩化ナトリウムが検出できる。
(6) (4)で石灰水の色は発生した二酸化炭素によって白濁する。これより黒い物質は炭素であり、これはしよう油中に含まれていた砂糖が炭化したものであることに気付かせる。また、酸化銅が還元され銅が生ずることにも触れるとよい。
(7) 塩化ナトリウムの結晶の特徴を想起させ、結晶は立方体であることを確認させる。
注 : 塩化ナトリウムの結晶と砂糖の炭化について、事前に準備しておいたものを見せて、これと実験結果を比較させてもよい。
注 : Naの炎色反応とCl-の検出についても、演示実験をして見せ、比較させてもよい。