高等学校「理科1」のてびき-066/133page
(指導資料) 減数分裂の観察
1 ねらい
生物が子孫を残すためには、生殖細胞を作り、その生殖細胞の合体により、親と同じ次代の生物が作られる。親と同じ生物が作られるためには、その遺伝物質が正しく受け継がれなければならないが、これは細胞内にある染色体の上に存在する。この染色体の数は生物の種により一定しており、何回受精をくり返しても変わらない。これは、生殖細胞が作られるとき、減数分裂により染色体数が半減するからである。このように、生殖・遺伝の現象に大切な意味をもつ減数分裂をムラサキツユクサの花粉形成を例にして観察する。
2 準備
ムラサキツユクサ、顕微鏡、スライドガラス、カバーガラス、ピンセット、柄つき針、酢酸カーミン液
※ ムラサキツユクサのつぼみは、花の咲く前のものを使用する。午前10時ごろまでが、減数分裂の盛んな時期なので、実験は、午前中に行うよう計画したい。
3 方法
(1) ムラサキツユクサの茎についているつぼみを、全部とりはずし、大きさの順に並べてみる。花こうが長くのび、下向きについているつぼみは、花の咲き終わったものであるから使用しない。減数分裂が行われているつぼみは、長さが3mm前後のものである (図1)。
(2) ピンセットと柄つき針を使って、つぼみを開き、おしべの葯を取り出す。葯が黄色に色ずいているものは、すでに減数分裂が終わり、花粉ができてしまっている。つぼみは、できるだけ小さなものまでを使用すると、減数分裂の初期の段階までを観察することができる。
(3) 葯をスライドガラスの中央に置き、ピンセットや柄つき針で押しつぶし、内容をスライドガラスに薄くぬりひろげる。葯の外皮の部分はとり去る(図2)。
(4) 酢酸カーミン液を1滴、ぬりつけた標本の上に落とし、2〜3分間、手のひらの上などであたためる。アルコールランプの炎より遠い所にスライドガラスをかざして、ゆるやかにあたためてもよい(図3)。
(5) カバーガラスを、気泡の入らないよう柄つき針などを使ってかける。カバーガラスからはみ出た余分の染色液は、ろ紙片のふちで吸い取る(図4、図5)。
(6) できたプレパラートを顕微鏡で観察する。観察は低倍率(100〜150倍)で分裂している細胞を探し、見つかったら、プレパラートを動かして、その細胞が視野の中央になるようにして高倍率(400〜600倍)にしてくわしく観察して、白紙にスケッチする。