高等学校「理科1」のてびき-070/133page

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(指導資料) 15 花粉 (発芽と花粉管の伸長を観察する)

1 ねらい

四季を通じて、いろいろな花が美しい色や形、大きさの変化を見せて咲く。植物の一生からみれば、ごく短かい期間に生殖のいとなみを果たしてたちまち散り去る。短かい花のいのちの中で、花粉は雄花の性質を子孫に伝える役目をもつ生殖細胞である。

この花粉の構造や機能を調べることは大変興味あるテーマである。受粉後における花粉の発芽や花粉管の伸長及び花粉管内核などの観察を行って、植物の有性生殖についての理解を深めさせたい。この観察・実験の前には、主な花の基本的なつくりや、減数分裂及び生殖細胞の形成などについて生徒に学習させておく。

2 準備

材料いろいろな植物の花

開花の時期や、葯の開く時刻が種類によってちがうものがある。花粉の検鏡には花が開き始めるころのものがよい。観察材料になる花の開花期に合わせて実験を計画・準備しておきたい。

用具・薬品

顕微鏡、ピンセット、柄つき針、スポイト、スライドガラス、カバーガラス、ビーカー、ろ紙、マッチの軸木、スパチュラ、ガラス棒

95%アルコール、グリセリンゼリー、染色液、パラフィン、寒天、ショ糖

3 方法

(1) 花粉の観察とプレパラートの作製

1) 葯から花粉をスライドガラス上に落とし、そのままの状態で検鏡する。

2) 水を1滴落とし検鏡する。水を吸ってふくらむ花粉もあり、膜の一部が破れて原形質内容がふき出るものもある(原形質吐出)。

3) グリセリンゼリーで花粉のプレパラートをつくる。

・スライドガラス上に95%アルコールを滴下し、ピンセットでおしべをつまみ、葯から花粉をアルコールの中へ落とす。しばらくおくとアルコールは蒸発して花粉は固定される。

・染色液を1滴落とし、染色液を十分しみこませる。

・スライドガラスを斜めにし、アルコールをかけて余分な色素を洗い落とす。

・グリセリンゼリーを1滴落とし、カバーガラスをかけてまわりをパラフィンで封じる。

このようにして作ったプレパラートを用いて花粉の形、輪郭、花粉膜の模様、発芽口などに注意しながら観察させる。虫媒花と風媒花の花粉の特徴を調べたり、近縁の種では似たような特徴をもっていることが多いことなどに気付かせたい。

<グリセリンゼリーの作り方>

1) ビーカーに粉末ゼラチン10gを入れ、水道水200mlを加え1〜2時間放置し、粉末ゼラチンに十分吸水きせる。

2) 粉末ゼラチンの上に残っている余分な水を捨て、加熱しながらガラス棒でかきまぜ、粉末ゼラチンを溶かす。


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