高等学校「理科1」のてびき-072/133page
1) 花粉の発芽口に注意して検鏡させ、スケッチさせる。
2) 一定時間毎に、花粉管の伸長方向や伸長速度にも注意させながら観察させておく。
3) 発芽前の芽粉粒内での原形質流動と、花粉管内での原形後流動の速さや方向などに注意して観察させるとよい。
4 留意事項
(1) 花粉について
1) 数種の花粉を別々の色素で染色しておき、これを前記のグリセリンゼリーの中にまぜ合わせて保存しておくと、花期でない時でもまた生徒に一度に検鏡させることができる。また1枚のプレパラートで、同じ視野の中に数種の花粉が観察でき比較させるのに大変便利である。
2) 花粉は、花粉母細胞の分裂によって生じた4個の細胞(花粉四分子)に由来する。最初は四面体であるが分離して球形となるが、調べるといろいろな形や大きさがある。スケッチさせ外形からグループ分けをしてみる。ミクロメーターによって大きさを測定させるとよい。
3) 花粉の外膜にみられる模様を高倍率で検鏡させる。花粉分類の重要な基準の一つである。
4) 空中花粉を調べる
空中に浮遊してる花粉を花粉板を用いて採集し、植物の種類、花粉数、季節、高度、気象条件等の関連性を調べたり、花粉病との関係などを考えきせたりすることができよう。これらは授業時でなく、部活動その他で発展的に取扱うこともできる。ただ付着した花紛の識別がかなり難しいので、形のはっきりした特定の植物の花粉に限って調べるのがよい。
(2) 花粉の発芽と花粉管の伸長について花粉の発芽の観察では、単に花粉から花粉管が伸びてくる現象だけの観察に終わらせず、有性生殖上の意義や生理学上の素材としてとらえさせ理解させたい。
1) 花粉の発芽を培養基上で簡単に短時間で観察できる材料としてはホウセンカがよい。花粉をまいてから2〜3分後には発芽し、培養基を顕微鏡に装置している間にも発芽を始める。花粉管の伸長の状態も、始めの10分間ぐらいに大きく伸びている。花粉管の伸長を実感としてとらえられるよい材料である。
2) ムラサキツユクサも花期が長く、学校ではよく栽植されていて繁殖力も強い入手しやすい材料のひとつである。ショ糖濃度の範囲も広く、原形質流動の状態がよく観察できる。
3) ホウセンカは開花期が夏休みと重なってうまく利用されていないこともある。最近観賞用草花として、アフリカホウセンカ(Impatience Sultani Hook)という品種が園芸店などの店頭に出され、家庭でも栽培され、種子も入手しやすくなっている。この植物は、栽培は簡単でよく成