高等学校「理科1」のてびき-074/133page

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花粉(発芽と花粉管の伸長を観察する)
 年 組 No. 氏名  

1 花粉の観察

花粉は種子を作る時に、雄花の性質を子孫に伝える重要な役割をはたす細胞である。つぼみのうち、おしべの葯の中で作られ、花が開いた時は完全な形となって出てくる。いろいろな植物の花粉のプレパラートを作って、花粉の形、大きさ、花粉膜の模様、発芽口などに注意しながら観察してみよう。

材料 いろいろな植物の花。花によって葯の開く時刻のちがうものがある。なるべく葯の開いているものの中から花粉をとるようにする。

用具 顕微鏡、ピンセット、柄つき針、スポイト、スライドガラス、カバーガラス、スパチュラ、95%アルコール、染色液、グリセリンゼリー、パラフィン

(1) おしべをピンセットでつまみ、葯の部分から花粉をスライドガラス上に落とし、カバーガラスをかけずにそのままの状態で検鏡する。(2) スライドガラス上に落とした花粉に、水を1滴落としカバーガラスをかけて検鏡する。花粉の形や大きさはどうか。花粉は水を吸ってふくらむものもあり、膜の一部が破れて原形質の一部がふき出るものもある(原形質吐出という)。

(3) 花粉を染色しプレパラートを作る

1) スライドガラス上に95%アルコールを1滴落とす。ピンセットでおしべをつまみ、葯の部分から花粉をアルコールの中へ落とす。しばらくおくとアルコールは蒸発して、花粉は固定される。

2) 染色液を1滴落とし、しばらくおいて染色液をしみこませる。

3) スライドガラスを斜めにして、アルコールをかけ余分な色素を洗い落とす。

4) あたためておいたグリセリンゼリーを1滴落とし、カバーガラスをかける。カバーガラスの外にあふれたグリセリンゼリーはふきとっておく。カバーガラスのまわりを、スパチュラを熱してとかしたパラフィンをつけて封じておく。

(4) 花粉の形や大きさを調べてスケッチし、いろいろな植物で比較してみる。ミクロメーターを用いて大きさを測ってみる。

(5) 高倍率で、花粉の外膜をくわしく調べ、発芽口(発芽して花粉管がのびてくる)を観察してみる。

2 花粉の発芽

花粉は虫や風などにより運ばれて、めしべの柱頭につくと発芽して花粉管を伸ばす。花粉管は、めしべの子房の中にある胚珠の方へ伸びていく。花粉管の中には、花粉管核と生殖核があり、生殖核はのちに分裂して2個の精核となり、花粉管が胚珠の中に入ると、精核のひとつは卵核と、他のひとつは極核と合体して受精が終わる。花粉の発芽は、花粉管を伸ばして精核をめしべの中の卵核へ導いていく重要


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