高等学校「理科1」のてびき-077/133page

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産卵、受精は夜間に行われるので、野外より採集できる卵ははやくても16細胞期であろう。たいていの場合、発見した時は神経胚期になっている場合が多い。卵の半分がまだ白っぽい時は胞胚期までの卵であるし、全体が黒っぽい時は、のう胚期以降である。前者の場合は、採集した卵を水槽に入れて発生を観察しながら、各ステージの卵を固定するとよい。その場合、卵塊の量と水槽の大きさ(水量)をよく考えなければならない。採集地が近い時には自然状態で発生させておき順次採集し固定した方が安全である。水量が少ないと酸素不足が起きて胚は死んでしまう。

3 方法

(1) 小型ビーカーに水10mlにつき、寒天3グラムをとかし加熱する。

(2) シャーレ(径10cm)に深さ6〜7mmまで加熱寒天液を注ぐ。

寒天が冷えて、やや粘性が出はじめたら卵を10個ぐらい寒天液中に埋める。卵のまわりに水滴を入れないようにする。

(3) 寒天が固くなったら、両刃かみそりで胚をいろいろな方向よりカットする。

カエルの発生過程の観察

(イ) 寒天中に埋めた胚の背面が上面になっている場合は(図イ)のように、シャーレの中で胚をカットして縦断面や横断面をつくる。周囲の寒天を切り寒天ブロックとしてとりだし検鏡する。

(ロ) 寒天中の胚が前後又は左右に傾いて埋まっている場合は、周囲の寒天を削り、カットし

やすいようなブロックをつくってから、縦断面又は横断面をつくる(図ロ)。

(4) 寒天ブロックは、水を入れた小型シャーレに入れて検鏡する。低倍率(100倍以下)の顕微鏡か双眼実体顕微鏡で観察する。

4 留意点

(1) カットする前にルーペ等で胚の向きをよく観察させる。

(2) 寒天が厚すぎると、埋めた胚の観察がしにくく、カットする面がわかりにくい。

(3) 脊索まで半分にした縦断面はなかなかできないが、神経管の縦断はやさしい。剛よく出来た切片ブロックは10%ホルマリン液につけておくといつまでも保存できる。

(5) カットした面が斜めだったために、正しい縦断面や横断面でないプレパラートが出来たら、どの面でカットしたものか考えさせるとよい。


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