高等学校「理科1」のてびき-082/133page
ボーキニンBは食品用防腐剤(商品名)で化学名は、パラヒドロキシ安息香酸ブチルである。70%エタノールに5%の割合でとかしてつくる。
1) 水300mlに寒天末4.5g、黒砂糖20g、コウボ菌10gを入れて、とろ火でよく攪拌しながら約10分間煮る。
2) 400mlの水のうち100mlでコーンスターチをとかして鍋に入れる。こげつかないように攪拌しながら3分間煮る。
3) ボーキニンBを3ml入れてよくまぜたら火を止める。
4) 飼育瓶に分注し、きれいな紙をのせておく。
5) 曇っていた瓶が透明になるのを待ち、止まり紙、コウボ懸濁液1〜2滴を加える。
止まり紙は、ハエの止まる場所、幼虫がよう化する場所、紙片の水分をハエが吸うためのものとして役立つ。
6) 青梅綿をさらしかガーゼでつつみ綿栓をする。1日後にハエを入れるとよい。(急ぐ時はすぐに入れてもよい)各種のショウジョウバエを扱った指導書や実験書では、飼育瓶、綿栓、紙などをあらかじめ滅菌して使用するように書かれているが、いちいち滅菌をしなくても充分実験ができる。
3 方法
遺伝の学習として交配実験を行う場合、次の2つの万法がある。
(1) 未知のF1よりF2を観察しP(親)を推定させる実験(本実験―生徒用実験書に同じ)、ここの方法は、あらかじめ教師がいくつかの交配をしておき、F1が羽化した時点で生徒に与えて実験させるものである。与えるF1は、どんな交配でも、すべて野生型であり区別がない。F2が羽化すればいろいろな形質がでるので、F2よりPを推定させ遺伝の法則に気付かせる。
カビが生えたり、管理が悪かったりして失敗する生徒のためにスペアを用意しておくことが大切である。
単性雑種や両性雑種の場合、F2、F3と継代飼育をつづけても遺伝子頻度に変化がないが、vgのように生存力の弱い突然変異を含む場合は選択され分離比が3:1や9:3:3:1とならない。実験に失敗する生徒のために集団遺伝飼育瓶(F2を新しい瓶に入れる)をつくっておくと便利である。単性雑種の場合は、F2 100個体ぐらいから生まれたF3を数えてみると、分離比がおよそ3:1と