高等学校「理科1」のてびき-097/133page
また鉱物顕微鏡のない場合でも、観察のできる方法のあることを知らせる。
(3) 造岩鉱物の組合わせを岩石の種類については次の表を参照下さい。
6 その他の岩石実験の方法
(1) 関東ロームより鉱物をとり出す方法
1) ロームを水ですりつぶし、水に浮ぶにごりの部分は全部捨て、つぶしてもにごりがなくなったら0.25mmのふるいにかけこれで残ったサンプルを重鉱物分離をおこなう。
2) 重液の密度を2.9にすると、これより
重い鉱物はカンラン石、キ石、カクセン石、磁鉄鉱、赤鉄鉱などである。また軽いものは石英、正チョウ石、斜チョウ石であり、ウンモはほとんど2.9である。
3) 重液の作り方
・ ヨウ化第2水銀(HgI2)270gと、ヨウ化カリ(KI)230gをまぜ、あつい湯1,000ccで溶かす。この液に石英の小片を入れて煮沸蒸発させ、石英が浮くのを見てから、比重計で計り重液の比重が2.9になるようにする。2.9以下なら蒸発を続け、重すぎたら蒸留水を加えて軽くする。
4) この重液は毒であるから、直接手にふれないこと。なおこの液は回収すると何回も使えるので捨てないようにする。
5) 操作の方法は、下のような装置をつくり実施すると良い。
○ 上のロートに重液を入れ、サンプルを入れて攪拌棒でかきまぜる。
○ 比重2.9以上のものは、下のピンチコックまで沈み、軽い鉱物は重液の表面に浮く。ここで上のピンチコックを、ゴムチューブにうつし、重液が落ちないようにして、下のピンチコックを開いて、重鉱物を下のロートの口紙におとす。重液は下のビーカーに回収され、重鉱物は口紙に残る、この重鉱物を蒸発皿で乾燥し、各鉱物の重量比を調べたり、カナダバルサムで固定し顕微鏡で調べ、鉱物名を確認する。
(2) カコウ岩の風化物を使用する方法
1) 風化したカコウ岩を使って、ふるいでふるいわけてみる。
2) 重液を使って分離させる。この場合は重液の比重は2.8位にすると、ウンモを含む有色鉱物と無色鉱物を分離することができる。なお鉱物が大きいので重液を使用しなくても、ある程度分類することができる。
(3) 会津シラスを利用する場合
1) 乳鉢で浮石の鉱物をこわさない程度に砕き、水洗いをして鉱物をとり出す、この場合は石基の部分はほとんど洗い流し斑晶のみをとりだすことになる。
2) ふるいでふるいわける。
3) カコウ岩と同じ方法で分離させる。
(4) 砂岩・砂を分析してみよう
1) 軟質の砂岩を乳鉢で砕き、ふるいで選別する。2mm〜0.0625mmの間のものが砂の範囲であるが、1mm〜0.5mm内に留まったものを分析するのがよい。
2) カコウ岩と同じ方法で実施する、この場合は重液の比重は2.9にする。
7 参考文献
(1) 1967 大森昌衛 地学野外調査の方法築地書館
1962 藤本治義 理科実験図解大事典・地学実験編 全国教育図書株式会社