高等学校「理科1」のてびき-119/133page

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(演示実験) 4 慣性の法則

1 ねらい

慣性の例は毎日の生活に数え切れないほどある。先人は慣性の法則を生活の知恵として利用している。慣性を便宜上、(1)静止の慣性、(2)運動の慣性、(3)回転の慣性に大別すると説明しやすい。

演示実験1

台車に入形(またはコケシ等)を立てておき、台車を急に発進させたり、走っている台車を急に止めると、入形が倒れることを見る。このとき、倒れる方向が逆になっていることに注目させる。

これは日常生活で電車やバスに乗っているときよく経験する例であり、また運転者がシートベルトやヘルメットを着用する必要性を理解させるに適している。

演示実験2

金づちとカンナを用意し、金づちの柄を据える方法を演示してみせ、またカンナの刃の出し入れを演示してみせる。先人の知恵として考えさせる。

演示実験3

だるま落し、本を数冊重ねておき、中ほどの1冊を急に引き出すと上の本はくずれずその1冊だけを引き抜くことができる。

演示実験4

身体をぐるぐる回転させ、急に止めると目がまわる、これは回転の慣性である。(三半規管の中のリンパ液の回転の慣性に起因する。

演示実験5

回転できる円盤、たとえばレコードプレーヤーの円盤の上に細長い小瓶を立て、円盤を回転させると小瓶は外側にたおれる。電車などが急カーブを曲がると乗客は体をもっていかれる。自転車に乗って急カーブをまがるときや、運動会でトラックのコーナーを走るときは身体をカーブの内側の方へ傾ける。まっすぐ立ったまま走ると上体が外側へもって行かれてしまい曲がることができないからである。

演示実験6

コマをまわす。静かに立てようとしても立たないコマが回転しているときは直立をつづける。これは回転の慣性であり、回転速度だけでなく回転の方向(回転面の向きといってもよい)をも一定に保とうとする性質(慣性)のためである。ジャイロスコープも同じである。


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