高等学校「理科1」のてびき-127/133page
2) 実験6)(イ)について
銅が赤く焼けて激しく塩素と反応し、かっ色の煙を生じる。この煙は反応によって生成した塩化銅(2)であるが、水に溶解すると青色となる。この反応は下記の反応式で示される。
Cu+Cl2 → CuCl2
(3) 指導上の留意事項
塩素は有毒なので換気には十分留意し、事前にドラフト等を利用して塩素を集気びんに捕集しておくとよい。
4 ナトリウムと塩素による食塩の製法
(1) 実験方法と実験結果
1) ナトリウムを試薬びんより取りだして、石油をろ紙でふきとった後、ナイフを用いて一片が2mm程度の立方体に切る。(炎色反応の項を参照)
2) 次にこのナトリウムを燃焼さじの上にのせて、アルコールランプ等で加熱融解した後、ただちに塩素を捕集した(ウ)の集気びんに入れる。このとき、最初は主として、ナトリウムと塩素が反応するがその後、燃焼さじも塩素と反応するので、白煙が生成したことを確認させたら、すぐに燃焼さじを集気びんよりとり出し、集気びんにガラスの蓋をする。
※ 未反応のナトリウムが残ったら、冷却後ただちに燃焼さじを水に入れて水と反応させる。
3) 白煙が下方に沈積するまで放置した後、未反応の塩素を集気びんを傾けて追いだす。
4) 次にこの集気びんに、コマゴメピペットで約2mlの水を入れて底にたまった食塩を溶解した後、この溶液について次の実験を行う。
(ア) 溶液数滴をスライドグラスにとって、ゆっくり蒸発乾固させた後、顕微鏡で食塩特有の立方体の結晶を観察きせる。
(イ) 溶液をニクロム線につけて炎色反応を行い、ナトリウム特有の黄色の炎を観察させる。
(ウ) 溶液の一部を試験管にとり、水を加えてうすめた後、0.1M硝酸銀溶液を加えて、白色の塩化銀が生成するのを観察させる。
(2) 指導上の留意事項
1) 燃焼さじの代りに、先端をへら状にしたガラス棒を用いて反応させると、食塩のきれいな結晶を見させることができる。ただし、次の点に十分注意しなければならない。
※ (ア) 勿ナトリウムを加熱するとき、ガラス棒のへらの部分が破損することがあるので、事前にガラス棒のへらの部分を加熱して、破損しないかどうか確かめてから実験に用いること。
(イ) 万一のことを考慮して、実験台の上を整理し、生徒を実験台より遠ざけ(2m以上)てから実験すること。
2) 結晶析出には時間を要するので、あらかじめ準備したものを観察させ、授業中にはナトリウムと塩素の反応だけを行なってもよい。