研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-156/170page
モジュール・ブックのねらいと作成上の留意点について,「個別学習のストラテジー」(森川久雄編著,明治図書)では,次の項目をあげている。ア 個別的に情報が提示でき,しかもセルフペースの学習ができ,このモジュール・ブックに従って学習していけば,完全習得が可能であること。
イ 教科書の詳しい解説書で,生徒が自分で読むだけでも十分理解が可能であること。
ウ 講義で話すような内容が,なるべく盛り込まれるようにすること。
エ サブノート的な役割をもたせ,復習や,テスト前の学習がしやすいこと。
オ 教材を精選し,基本的事項と応用・発展的事項を区別し,まず基礎的事項の定着をねらい,荘本的事項の学習だけでも,つぎのモジュール・ブックへ進めるようにすること。
カ モジュール方式を採用するため,学習内容のひとまとまり(これを1モジュールと呼ぶ)を一冊のモジュール・ブックにまとめること。(2〜3時間授業分)
キ 一つのモジュールごとに,形成的評価ができるようにチェックテストを入れること。
ク 生徒が自分でやったことの即時確認ができるよう,解答はできるだけ詳しく入れること。
ケ 問題と,生徒自身がつくる答案は,同じ場所にあった方が復習しやすいと思われるので,モシュール・ブックの中に解答スペースをとり,演習ノート的な役割をもたせること。
コ 学力が高く,進度の速い生徒のために,応用・発展モジュールを作ること。モジュール・ブックでは,提示きれる情報の多くが文章によって表現されるので,文章の読解力が弱く,内容が理解できなかったり,学習に時間のかかる生徒に対しては,文字以外の媒体を通して説明を加え,学習を促す必要がある。そのためには,VTR・テープの利用などが適切であると思われる。また,モジュールによる学習は,学習の個別化と生徒の主体的な学習を目ざすものであるが,「現代社会」の学習のすべてにわたってモジュールによる学習を展開するのではなく,モジュールによる学習とともに種々の学習方法を取り入れて,より効果的な学習を展開することが必要であろう。