研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-160/170page
物価の動きをみる場合は,比較の基準となる時点をきめて,その時の物価水準に対して平均何%上昇(または下落)したかという比率のかたちでみることになります。これを示すのが物価指数であって,物価水準は物価指数でのみあらわされます。ところで,物価指数は物価の動きを人々の主観的な感じ方でなしに,もっと客観的な科学的根拠のある方法でしかもわかりやすい数値としてあらわすもので,ちょうど温度計が日々の寒さ暑さを測るように,物価指数は,物価の総合的な動きを測るものさしの役割を果たすといってよいでしょう。 4 物価指数 物価の動きを問題にするとき,私たちは,たくさんの商品やサービスのねだんを対象に考えているわけですが,商品のねだんには,生産者が販売するときの生産価格,卸業者が販売する卸売価格,小売店が消費者に売るときの小売価格など,商品の流通過程に応じていくつかの段階があります。それぞれの段階で取引される商品は,たとえば,卸売の段階では製品を作るための原料や工作機械を含むなど,一般消費者が購入する商品とはその範囲が異なっていたり,また価格の動き方もかならずしも一致しません。したがって,物価水準もそれぞれの段階ごとに別々に
5 消費者物価指数 これに対して消費者物価指数は,日常生活で私たち消費者が購入する商品のねだんの動きをみようとするもので,私たちの家庭で日常購入する食料品,衣料品,電気製品,医薬化粧品などのねだんの上がり下がりをまとめてあらわすものです。また,生活費に直接影響する物価の動きを調べようとするものですから,このような商品のほかに,授業料や電気代,ガス代,家賃,電車賃,バス代などのような料金(これらをサービスの価格ともいいます)の動きも含まれます。このように,消費者物価指数と卸売物価指数とは全く性質が異なり,また,そのために指数の
6 卸売物価指数 卸売物価指数の代表的なものは日本銀行で作成されていますが,この指数は会社や工場,商店など企業相互間で取引されるすべての商品のねだんの動きを,総合的にとらえようとするものです。したがって,この指数で調べる商品は農産物や工業製品だけでなく,製品を作るための鉄鉱石や原油などの原料や,エンジン,旋盤などのような工作機械も含まれており,また価格は生産者にもっとも近い卸売業者(第1次卸売段階)の販売契約価格をもとにしてしいます。