-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-002/231page

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 つぎに,東北地方の地質の特徴について調べてみましょう。北上山地や阿武隈山地は花こう岩や古生層が広く分布しており,中生層や変成岩類の分布は狭く,かぎられています。

 奥羽山脈の大部分は厚い中新世の地層からできており,その中央部には,第四紀に入って活動し始めた火山の火山砕せつ物や溶岩が山地をおおって,火山を形成しています。また,中新世の地層の下からは断層やしゅう曲等で,狭い範囲ながら,古生層や花こう岩が顔を出しています。

 出羽丘陵や越後山脈は中新世の地層からできていますが,部分的に花こう岩や古生層が見えています。また出羽丘陵には,これらの地層の上に第四紀の火山がおおっています。

 時代の新しい鮮新世や第四紀の地層は北上山地,阿武隈山地,奥羽山地,出羽丘陵地には,ほとんど分布しないで,北上・阿武隈山地と奥羽山地との間の低地帯,奥羽山脈と出羽丘陵・越後山脈との間の盆地列や海岸沿いに分布しています。このことは,鮮新世の頃はすでに,奥羽山脈や出羽丘陵・越後山脈は海面から顔を出し山地として隆起していたことを物語っています。

 再度,目を県内の地質に向けて見ましょう。県内の地質も東北地方の地質構造支配をうけて,地質構造の上から次の6つの地質区に分けられます。

1:阿武隈山地以東の浜通りの丘陵地や海岸平野

2:阿武隈山地

3:阿武隈山地と奥羽山脈の間の中通りの低地帯

4:奥羽山脈

5:奥羽山脈と越後山脈の間の低地帯

6:越後山脈

 これらの地質区について,その概略を説明します。

1 阿武隈山地以東の浜通りの丘陵地や海岸平野

 阿武隈山地の東側,浜通りは,おもに古第三紀漸新世から新第三紀鮮新世までの第三紀層が広く分布しています。古第三紀漸新世の地層は北茨城市からいわき市にかけて常磐炭田を形成しています。地層からは石炭や多くの貝化石が産出します。新第三紀中新世〜鮮新世の地層は浜通り一帯に広く分布し,丘陵地のがけなどで見られる地層がそれに相当します。地層からはステゴドン象の化石が発見されたり,


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