-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-003/231page
最近では四倉高校の校庭のがけから3頭の鯨の化石が発掘されました。そのほか,貝化石や植物化石なども多く,各地で産出します。
2 阿武隈山地標高500〜700mの,山頂部になだらかな準平原を残す阿武隈山地には,花こう岩類が広く分布しています。この花こう着類は,中生代白亜紀の大規模な火成活動で貫入してできたもので,日本列島に分布する花こう岩の大部分は,この期の火成活動で貫入してできたものです。もう少し詳しく阿武隈山地の花こう岩類を調べると,貫入時期で2つに分けられます。一つは9000万年〜9500万年前に貫入した,古期花こう岩と呼ばれている粗粒で有色鉱物に方向性のある花こう閃緑岩類で,いま一つは8500万年〜9000万年前に貫入した新期花こう岩で,有色鉱物の平行配列はなく,等粒状の黒雲母花こう岩類です。
また,山地の東縁部には,古生層や中生層が細く分布しており,北部の相馬古生層からはウミユリの莖,スピリファー,三葉虫,サンゴなどの化石が見つかっており,南部の高倉古生層からは,三葉虫やスピリファー,サンゴなどの化石が多く見つかっています。いわきの中生層からは巨大アンモナイトやクビナガ竜の化石が発見きれています。また,山地南部の湯本町から石川町にかけて,御斎所・竹貫変成岩と呼ばれる,結晶片岩や片麻岩類が分布しています。
3 阿武隈山地と奥羽山脈の間の中通りの低地帯
阿武隈山地と奥羽山脈との間の阿武隈川沿いには低地帯(盆地別)が分布しており,南部の白河付近では300m,中部の郡山一本宮付近では230m〜270m,北部の福島付近では50m〜80mの高度からできている,3つの低地帯が並んで発達しています。これらの低地帯の下部には,花こう岩類や変成岩類,新第三紀層などが基盤となって,その上に第四紀の洪積層や河川沿いの低地に沖積層がたい積し,また,那須火山系の吾妻,安達太良,那須の各火山のロームが場所によっては厚く低地帯をおおっています。
4 奥羽山脈
奥羽山脈は,本県の観光のメッカでもある磐梯・猫魔・吾妻・安達太良・那須など,標高1800〜1900m級の火山群が連なって,奥羽背梁山脈を形づくっています。これらの火山は,花こう岩類や変成岩類,それにほぼ南北方向に分布する厚い新第三紀中新世の地層が基盤となっています。これらの基盤は中新世末から始まった