-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-009/231page

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セラム,トリゴニアなどが見つかっており,昭和43年には6.5mほどの大きな,くびなが竜の化石が,いわき市大久町入間沢で発見されています。

 また,日本列島では,白亜紀の終りから第三紀にかけて,大規模な花こう岩の貫入や,大量の火山岩の噴出がおこりました。この一環として福島県内でも阿武隈山地に2回にわたって花こう岩が貫入しました。現在,阿武隈山地で見られる花こう岩はこの貫入でできたものです。

4、常磐炭田の形成時代(古第三紀:6400万年〜2600万年前)

 中生代末の大規模な花こう岩の貫入をともなう造山運動で,海底にたい積した中生層も陸化しました。古第三紀始新世の終わりから漸新世にかけて,北茨城市からいわき市にいたる南北85kmにおよぶ地域で沈降が始まり,大きな湾形の入江ができ上がりました。当時の気候は高温多湿で,入江の周辺の山地には,メタセコイヤをはじめとしてポプラ,プラタナスなどの温帯性樹木やシュロ,バショウなどの亜熱帯性樹木が繁茂しており,これらの樹木が入江に流れこみ,それを砂や泥が埋めて石炭層ができました。

 漸新世のはじめ頃は,水深も浅く,レキ岩―砂岩―頁岩―石炭―頁岩の順に,小さなたい積輪回をくり返していろことから,水深も一進一退を続けたことがわかります。

 石炭層のたい積後,この付近はさらに沈降がすすみ,海が陸地に入りこみ,海もいっそう深くなり,砂質や泥質の厚い地層をつくりました。この砂質の地層にはたくさんの動物化石が含まれております。

 一方,阿武隈山地以西の地域は,中生代はじめから続く日本の大陸時代であったために,古第三紀の地層はありません。

5、阿武隈山地が島となる(新第三紀:2600万年〜200万年前)

 新第三紀の中新世の始めに,福島県だけでなく,東北地方全域に,さらに広く日
古第三紀末の日本列島

古第三紀末の日本列島


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