-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-010/231page
本列島に大事件が起りました。
大事件というのは,現在の阿武隈山地と北上山地の西側に沿って東北地方を南北に縦走する大きな裂け目が何本も生じたことです。
これらの大きな裂け目,つまり,お互いに平行する南北性の断層が何本も何本もでき,現在の奥羽山脈を中心として平行する断層に沿って,階段状に大きな陥没が起こり,阿武隈山地・北上山地以西の東北地方は海底に沈みました。当時,福島県内では現在の阿武隈山地・川桁山地・飯豊山地そして南会津の山地を島として残すのみで,県土のほとんどは海面下に沈みました。
一方,南北方向の大きな裂け目である断層は,地下20km〜30kmの深さにまで達し,この裂け目に沿ってマグマは上昇し,はげしい火山活動が起こりました。とくに,現在の奥羽山脈にあたる海底で海底火山活動がはげしく,多量の溶岩や火山灰を噴き出し,海底には火山砕せつ物や,海水によって急冷されてバリバリと砕けた水中溶岩がたい積し,海水はどろ水と化し,火山活動が小休止をすると,その泥や海水面に浮いていた浮石が静かに沈降し海底につもりました。この裂け目をつくった地殻変動から海底火山の活動までを,グリーンタフ変動とよびます。
また,このとき海底にたい積した火山砕せつ物や溶岩流をまとめてグリーンタフ(緑色凝灰岩)と呼んでいます。
この時代の県内の地層を,地殻変動にそって,沈降し始める時期,海進時期(沈降が進んで海底が深くなる),海退時期(隆起が進んで海底が浅くなる),沼・沢時期の4時期に大別してまとめてみましょう。
1.沈降し始まる時期
この時期の地層は阿武隈山地
中新世初期の東北地方