-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-011/231page
北西部の霊山層,郡山盆地の西縁山地の岩上山層・西吾妻スカイバレーの白布峠層,会津盆地の東縁山地の闇川層などが点々と分布しており,緑色凝灰岩(グリーンタフ)からできています。また,グリーンタフ地帯からはずれた棚倉破砕帯の西側には,礫岩や砂岩・石炭をはさむ梁森層が分布しています。
これらの地層の一部は,メタセコイヤ,シデ,ケヤキなどの植物のほかにカキ貝の化石を含んでおり,それが半かん性のたい積物であることを示しています。
2.海進時期
この時期の地層は最も広い範囲に分布しており,福島周辺では梁川層・郡山周辺では大久保層,会津周辺では黒岩層や利田層が代表的な地層です。これらの地層は,おもに粗粒砂岩や泥岩と火山灰からできております。
陸地が沈降したあと,入りこんできた当時の海は,産出する化石から南方系の海流で暖かく,また陸地も温暖な気候であったことが,フウ,ヤマモモ,カシなどの暖帯性の植物化石からうかがわれます。
中新世初期に東北地方に入りこんできた海は,その後,西方へ広がるとともに,最深部も西方へ移って行き,逆に,阿武隈山地に近い方は,しだいに浅くなりだしました。
3.海退時期
この時期の地層は福島周辺では飯坂層・天王寺層,郡山周辺では堀内層・白石層,会津周辺では二の沢層・譲峠層・塩坪層がその代表的なもので,新しい地層ほどその分布が狭くなってきており,約1300万年前ごろには,しゅう曲と断層を伴って奥羽山脈は隆起を始めていました。この隆起運動にともない山脈の西縁では安山岩や流紋岩の噴出があちこちに起りました。
4.内海・湖底時代
約1000万年前になると奥羽山脈は海面から姿をあらわし,東北地方を東西に分け