-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-014/231page
3 地層観察の指導
1、学校周辺の地層の教材化にあたり
地層は地球のおいたちの歴史の証人と言われています。それは大昔の有史前の地球上で起こったできごとのすべてを,地層は克明に記録し,保存しているからです。
この地球のおいたちの歴史の記入である地層から,どのようにしたら正しい過去の証言を引き出せるでしょうか。それは地層に秘められている,各種の謎の符号を地層の観察を通して,いかに正しく読み取るかにかかっています。
地層のでき方については,小学校4学年では「流水のはたらき」の教材を通して,石や土がつもって川原のような広がりをもつものができることを理解させ,6学年では.これらの経験を基にして,近くで地層が見られるがけを観察し,地層が積み重なってがけをつくっていること,また地層は水平方向に広がりをもって積もっていることをとらえさせ,地層をつくっている物を手がかりに,地層は水のはたらきで,長い年月をかけてできたことを理解させるような教材配列がなされています。
この地層に関する教材は,さきの流水のはたらきに関する教材と同様に,児童・生徒にとって,自然にふれ,自然に親しみ,自然を正しく理解する大切な教材であると同時に,時間的,空間的なものの見方,考え方を育てる教材でもあります。
2、野外学習実施上のポイント
1)岩石や地層観察の露頭を選定する
岩石や地層が地表に露出している所を露頭と呼びますが,野外学習の効果を上げ得るか否かの決定的要因は,観察する露頭の選定にかかっているので,充分に時間をかけて下見をすることである。
1)2〜3時間続きの授業を計画し,往復に1時間,観察に1〜2時間を目あてにします。
2)学校から露頭までの交通事情や,観察場所での安全性を事前に調べておきます。
2)露頭の観察では,まず,露頭から離れて全体の様子や重なり関係をよく観察します。