-野外観察の手びき-中通り・会津の地層と川原-207/231page
混ざってできた砂質凝灰岩です。その上には2cm大の角レキを含む凝灰岩が50cmの厚さで積もり,さらに淡黄色の砂質凝灰岩の地層が80cmの厚さで水平に積もっており,最上部に白っぽい,細かい泥質凝灰岩が10cmの厚さで水平に重なっています。
(B)層は2cm〜50cm大の巨レキを含むレキ層で,レキとレキの間を火山灰が埋めています。この岩石は凝灰岩質レキ岩と呼ばれ,傘のような形で(A)層の上に積もっています。
この塔のへつりに見られる(A)層や(B)層は,新第三紀中新世の末に積もった地層で,くぼんでいる(A)層は砂質凝灰岩や泥質凝灰岩からできている部分で,レキ岩層よりやわらかいために,川の流水の差別浸食でえぐられてくぼみました。
現在の川は,このくぼんだ(A)層より数m下を流れています。このことは,この周辺一帯が隆起しており,そのため川の下刻作用がさかんにおこなわれていることを物語っています。
(1)観察する場所(その2)
塔のへつりのつり橋より100m下流の川原に下りる途中のがけ
(2)観察のポイント
1)不整合
(A)層は新第三紀中新世末の砂質凝灰岩で,暗灰色をしています。この(A)層がつもった後の地かく変動で隆起し,浸食をうけ凸凹のX-Y面ができました。その後,第四紀の沖積世の始めに大川のはんらん原の一部となり,(A)層の上に段丘性のレキ層がつもりました。
このX-Y面を不整合面と呼んでいます。(A)層と(B)層の重なり方を注意して観察する。