研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-090/96page
学級に対する教師の期待が大きすぎたためと思われます。2段階に分けてもそれぞれの学級で,習熟度の差に対する配慮が必要でしょう。
2 表記法による習熟度別等質学級編成に対する生徒の意識
文部省研究指定校の中間報告の中から,表記法による習熟度別等質学級編成に対する生徒の意識を概括すると,次のようになります。
(1)習熟度別学級をよいとする理由
1)授業の進み方が学級に適しているので,授業内容がわかりやすい。
2)学力が同じ程度の人がいるので競争意識が高まり意欲がわく。
3)学力が同じ程度の人がいるので気安く学習ができる。
4)ゆっくりした気分で自分なりの勉強ができる。
5)基礎的なことを繰り返して教えてもらえるのでわかるようになった。
6)授業の進み方がスムーズになり,無駄が少なくなった。
7)自分の学力に対する自覚がわいてきた。
(2)習熟度別学級でない方がよいとする理由
1)授業の違いが気になり,自分の実力がどの程度かわからない。
2)学級の差がますます開くような気がする。
3)気おくれや劣等感を感ずる。
4)のんびりした雰囲気で学習意欲がわかない。
5)教室移動がわずらわしい。
6)学習する童が多く,基礎的なことはわかっているものとして,不完全なまま進んでしまう。
7)担当の先生や仲間が変わるので落ちつかない。
8)先生が「バカ」にしていると感じたことがある。
以上は,代表的な例をまとめたものですが,これによると習熟度の趣旨を十分生かした授業においては,肯定的に受けとめられているようです。しかし,段階別に分けることに対する心理的影響,学習と生活集団が異なることによる不安,教科内容についての不安等があり,これらの問題点については,事前に十分検討しておくとともに,生徒への十分なガイダンスが必要となるでしょう。