学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-000-01/222page

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まえがき

教育の普及発展をみる一方で,家庭環境や社会環境の変化から,児童生徒の心身にさまざまな歪みが生じてきていることは否定できず,「三離四走」(家庭・学校・地域社会離れ,飲酒喫煙・薬物・車・性へ走る)といわれる風潮が生じている。

このような事態に対して,学校や教師は,どのように児童生徒を理解し,どのように問題行動を考え,それらに対してどう努力し,解決していけばよいかという観点を明確におさえて,教育相談に当たっていく必要があると思う。

また,学校教育相談は,すべての児童生徒を対象にするといわれており,単に,治療的側面からのみ必要性を考えることなく,積極的・開発的な側面を重視しなければならない。

ところで,教育相談は理念ではなく,ひとつの具体的な働き,あるいは行為,実践である。しかも,生きた児童生徒を対象とし,児童生徒の全体としての存在にかかわりあいをもつ働きである。だから,その働きは,すべて,児童生徒の未来に対する責任をもつことになることを忘れてはならない。

この意味において,学校教育相談についての基本となる理論や,具体的な事例を紹介し,わかりやすく解説を加えながら,学級担任・ホームルーム担任として,どのように教育相談を行うべきかについてまとめるとともに,児童生徒の問題行動の早期発見や予測のために,簡単に実施し活用できる諸調査や,むずかしいといわれている教育相談にかかわる用語の解説も行い,活用しやすいように編集を試みた。

本冊子が,日々の教育活動の中で生かされ,学校教育相談が「ひろまり」「ふかまる」ことを切望してやまないしだいである。

昭和57年2月 福島県教育センター所長 佐藤信久


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