学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-039/222page

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第6章 カウンセラーの基本的態度

1.カウンセラーの基本的態度

「生徒指導の実践上の諸問題とその解明」(文部省)には,教師の相談的心構え,相談的態度について,次のように述べられている。

「教育相談にもさまざまな立場があるが,もし,心構えという言葉を,どのような立場をとろうと,共通する土台となるような基本的な考え方という意味にとれば,その中心をなすものは,相手の言葉を,相手の使っている意味において,理解しようとする態度であるということができるであろう。それは,…どんなに自分の考えから離れた考え方であろうと,あるいは,明白な誤解であろうと,この人は,こう考えている,そう感じているということを理解するということである。…」

また,心理療法的カウンセリングの発達に寄与したロジャースは,「クライエント(来談者)の人格が健全な方向へ変化するのに必要なのは,セラピスト(治療者)のカウンセリング理論や,カウンセリングの技術,カウンセリングの学派などではない。それは,クライエントに対するセラピストの態度である。セラピストの態度によって,クライエントはよくもなったり,わるくもなったりする。この場合の態度とは,1) 人間的な誠実な態度(自己一致),2) 無条件積極的尊重(受容),3) 共感的理解である。この三つの態度で接すれば,クライエントの人格は,必ず健全な方向へ変化していく」といっている。

カウンセリングは,前にも述べたとおり,普通,一対一の面接の形で行われ,助力を与える側のカウンセラーと,助力を受ける側のクライエントとのふたりの人間関係が基本になるから,その成否は,少なからず知識よりも人間性に左右されるといってよいであろう。人間性にひずみをもったままだと,いくらクライエントにかかわっても,のぞましいカウンセリング関係は成立しないのである。

(1) 批判的・攻撃的でない

批判的・攻撃的な傾向の強い人は,たとえ,はじめの間は,相手のことば


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