学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-040/222page

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に耳を傾けていても,ひとたび口を開けば,後はすっかり説得的になってしまいやすい。こうなると,もう相手のことばは耳にはいらず,むしろ,相手のことばをさえぎり,ことばをきわめて説きふせようとしてしまうのである。なお,ここでいう批判的・攻撃的な人とは,単に議論好きな人,議論になるとむきになる人だけでなく,次のような人も指していることを忘れないでほしい。

○ 何かあると,他人や世間を見下したがる人。

○ 話題を独占したがる人。

○ 面白くないといわんばかりの表情で話をきいている人。

○ 派手にふるまい,自己を顕示しようとする傾向の強い人。

いずれにせよ,批判的・攻撃的な傾向は,なんらかの形で周囲と対抗し,優位を誇示しようとするところから生まれ,そこには,周囲を理解し,受容しようとする心のゆとりすらないのである。このことは,カウンセリングに必要な態度とはまったく相対立する態度なのである。

(2) 感情の安定性

クライエントば悩みや不安,追いこまれた困難等のために,精神的に不安定な状態になっている。このために,正常な判断力を働かせることができなくなっているから,カウンセラーが安定した態度で応対する必要がある。また,カウンセラーは精神的安定を保つように努めなければ,相手の感情を正しく理解し,相手のおかれている困難を正しく判断することもできないのである。

1) 感情の安定性の意味

感情の安定性とは,決して心が動揺しないことだけではない。カウンセリングをしていて,相手に同情し涙ぐんだり,不安になったりすることがよくある。しかし,これらからくる動揺をそのまま外に出してしまわないようにコントロールできるように努めなければならない。

人はよきカウンセラーであろうとするため自己制御の努力をし,その努力を通じて,だんだん感情の安定を高め,よりよいカウンセラーに育っていくものである。


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