学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-042/222page

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ろうか」などといった動機を,あれこれ推測したがるようでは,とうていよいカウンセリングはできない。

3) 訴えの正否を軽々と結論づけない

相手の訴えを理解することに一生懸命になっていれば,その正否を正しく結論づける心のゆとりはないはずである。

子供が,「だれも話しかけてくれないからさびしいの」と訴えた時,また,そのことで級友の悪口をいいはじめた時,表面にでてきた現象だけで即断してはならない。この子供の内面的な動きにメスを入れない限り,子供の訴えを正しく判断することはできないのである。

(4) 信頼性

クライエントの話した内容は,その人にとっては個人の秘密である。その個人の秘密を話されたことは,カウンセラーとクライエントの間に信頼関係が存在しているからなのである。

1) 秘密を守る

まず,知り得た個人の秘密を他にもらさないという約束を実行することである。事例研究のためであっても,個人名を明らかにしないのも,このためである。

2) クライエントを批判・説得しない

クライエントが何か言うたびに,「それはまちがっている」「そんな考えは甘い」などと,批判・説得をするようでは,クライエントは安心して話すこともできないであろう。カウンセラーは,少なくとも初めのうちは,クライエントの訴えを受容し,訴えに耳を傾け,一緒になって,課題について考えていこうとする態度をもたなければならない。

3) 秘められた可能性を信頼する

カウンセラーは,クライエントに対して,正しい自己洞察に到達できるように援助さえすれば,必ず望ましい形で課題の解釈を自ら図ろうとするようになることを信ずる必要がある。この確信がぐらつけば,必ず批判・説得に走ってしまい,よいカウンセリング関係は成立しなくなるのである。


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