学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-041/222page
2) 話し合いは持っても説得になってはならない
受容的に聞くことができるかどうかは,だれにでも多少はある批判的・攻撃的傾向から生ずる説得をどれだけ抑制できるかによって判断できる。カウンセラーの感情が安定していれば,忍耐強く聞き役にまわり,受容的な態度を続けることができるのである。
3) 聞き役になっても聞かれ役にならない
カウンセリングでは,しばしば「先生だったらどうしますか」と逆に質問され,答えなければわるいと思い,一生懸命になって答えてしまうことがある。これは,カウンセラーは聞き役であるという原則を忘れ,感情の安定を失っている証拠であるといえる。
実際,カウンセリング場面では,どんな話がとびだしてくるかわからないので,聞き役の立場にいるよりも,質問に応じて,知っていることをしゃべった方が楽なためによくおこるのである。
従って,相手から逆に質問された時は,批判的・攻撃的態度の自己制御が不十分で,説得的になっていないかを反省してみる必要があろう。
(3) 共感性・感受性
カウンセリングでは感情の受容が大切であるといわれている。とすれば,カウンセラーにはクライエントの感情を理解し,あるいは感じとることのできる共感性・感受性が要求されるのは当然である。
1) クライエントが訴えている感情の理解に努める
このことは,クライエントとかかわり合おうとする姿勢によって左右される。どんなに感受性が豊かであっても,相手の訴えているところを理解することに努めない限り,決して,相手の気持ちを理解できるようにはなれないのである。
2) カウンセリングを求める動機を推測しない
共感性・感受性は相手の訴えているところを最善をつくしてわかろうと努力しなければ満足に働かないから,カウンセリングを求めるようになった動機を推測しようとするゆとりはないはずである。
「この子供は,私より直接の援助を引き出したがっているのではないだ