学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-071/222page

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第10章 問題をもつ児童生徒の発見と診断

1.問題行動とは

問題行動とは,広義にとれば,「何らかの観点から問題視される行動のことである」(生徒指導資料第14集文部省)ということができるが,何らかの観点の考え方により異なってくる。すなわち,ある事態で問題行動とされた行動も,異なった事態では,そのようには認められない場合もありえることであり,問題とするかしないかは,その行動が出現した時の場面や,集団の規範性にかかわっているのである。たとえば,自由遊びの場面では活発で大変望ましい行動も,学習場面では活発すぎることがわざわいして,逆に望ましくないとされるようなものである。また,個人的な意見や判断によっても影響されやすい。たとえば,ある教師は,もの静かで引っ込み思案の子供を問題をもつ子供とみないで,積極的で攻撃的な子供を問題祝しているような例である。

このように考えてくると,問題のとらえ方は多義に考えられてしまう。そこで,ここでは,「子供が学業面・性格行動面・精神身体面等において,何らかの不適応を示す行動である」とおさえたい。

ここで,不適応とは,「欲求不満やかっ藤に対して,その処理に失敗し,生活上支障をきたした状態である」と考える。

2.不適応の起こり方

人はいろいろな欲求をもって生活している。これらの欲求が満たされれば,心の緊張は解消し,適応した行動へと進む。それに反して,欲求が満たされないと,不満がつのり,心の緊張が続き,いろいろな不適応行動となって現れるのである。

欲求が阻止される要因には,個人自身からくるもの,人間関係によるもの,環境によるもの等がある。これらの3つの要因の組み合わせにより,不適応の型は,次の図4のように,4つの型に分類されるであろう。


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