学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-086/222page

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(5) 診断

 1) 幼少期における家庭的不和から安定した養育関係が得られず,肯定的な自己存在感が確立していない。

 2) 養育態度に多くの問題があり,望ましくない親子関係が,本人の情緒的な安定を阻害し,自我の未熟・未発達,精神的な脆弱さを生じさせている。

 3) 家庭並びに学校生活への不適応を,敵意や反抗を示すことで自己満足を得て自我を膨張させようとしている。

 4) 外的刺激に対する興味・関心や不良環境親和性も強く,非行集団内において安定した地位を保持している。

(6) 指導方針

 1) 本人に対して

  ア. 受容的な態度で接し,本人のもつ不満感や,疎外感を共感的に理解し,情緒の安定を図る。

  イ. 継続的なカウンセリングを通して,自己の問題行動の原因が何であるかを考えさせ,自我意識の甘さと,性格の弱さを自覚させる。

  ウ. 責任ある行動計画をたてさせ,自己評価を行わせるとともに,支持的方法でルールを守ることの大切さを体験的に気づかせる。

  工. 自己洞察力を高め,自らの意志で不良行為集団からの離脱をはからせる。

 2) 母親に対して

  ア. カウンセリングを通して,親自身の不安を除去し情緒の安定を図る。

  イ. 本人に対する親の接し方の問題点を考えさせ,養育態度の改善につとめさせる。

  ウ. 学級担任との連絡を密にし,学校と家庭で一貫した指導がなされるようにつとめさせる。


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