学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-115/222page
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(1) 主訴 家庭内暴力
(2) 対象 中学校1年男子 S男
(3) 問題の概要
○小学校6年のころから成績があがらず,友達もできないので学校がおもしろくないと訴え,登校拒否の徴候がみえはじめる。祖父や母が,学校に登校するようにしかったり,なだめたりしたが効果がなく,6年の3学期から登校拒否中に祖父と弟に暴力をふるい始める。
○中学校に入学後,高価な品物を要求し,それがかなえられない時や,登校刺激が加えられた時は,異常なほどに暴力をふるうようになった。祖父,弟に対しては金属性のバットで殴りかかったり,器物を投げつけるほか,家具,調度品を壊すことも多くなった。
○妹や母には,ほとんど手出しはしないが,母には,暴力をふるわないかわりに,次第に高価な物を要求し,エスカレートしてきている状態。
○教師の家庭訪問があると,天井裏に逃げかくれたり,浴槽の中で息を殺して帰るのを待つひ弱な面がみられる。
○自分が暴行を加えて,祖父,弟がけがをすると,おそろしくなり,顔色をかえて逃げ出すなど,性格,行動面でのアンバランスな面が多く見うけられる。
(4) 資料・情報
1) 生育歴
ア 胎生期,母は夫が家業に専念せず外泊が多いことで精神的に不安定な状態にあった。出産は難産(体重3,500g)鉗子分娩である。
イ 母は産後の肥立ちが悪く,長期入院加療,この間,本人は父の実家で育てられる。
ウ 父は婿であるが,身持ちが悪く,本人の幼少時夫婦間のいさかいが絶えなかった。
工 父は,義父,母に対して暴力をふるうことが多く,本人が小学3年の時離婚している。