学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-114/222page
(6) 対策
家庭内暴力は,家庭内における人間関係の歪みによるところが大きい。従って,援助指導にあたっては,子供への働きかけと同時に,その家族に対しても働きかけが必要である。この場合,家族といっても,通常はやはり両親への働きかけが中心となるであろう。
1) 父親
子供は父親に対して,父親らしく積極的に働きかけをしてくれないことに不満をもっている。
○ 父親的役割の必要性を認識してもらう。そして,子供に対して,主体的・積極的な関与の姿勢をとってもらう。
○ 問題意識はもっていても,具体的にどう対処するのか迷っている場合が多いので,自分をさらけ出して,子供に正面からぶつかっていくことを勧める。
2) 母親
子供は母親に対して,心配性で口うるさく,過干渉であることや,幼児的扱いをして自主性を認めてくれないことへの不満を感じている。
○ 自分の子供に接する態度を反省させ,父親の役割の重要性を認識し養育方針や,養育態度の一致につとめさせる。
○ 子供に対する心配性からの過干渉の態度を改めさせ,気になっても口を出したり,世話をやいたりしないで,子供を信頼し見守るように援助するようにさせる。
○ 実感として問題点を理解しようとしないで,世間体を気づかい防衛的態度をとりやすいことを反省させ,きびしい態度で接することも必要であることを理解させる。
○ 子供を自立させるためにも,母親自身が,自分の世界をもつとともに,夫との関係を見直すことも必要であることに気づかせる。
3) 子供
○ 信頼関係をつくりあげるために受容的態度で接する。
○ 時には指示的態度や教師の判断や考え方をはっきり伝える。