学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-128/222page

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5.事例 (3)

◆主訴を理解するために ―登校拒否―

本来,子供にとって学校は楽しい場であると同時に,集団の中において耐性を習得していく場でもあるはずであるが,多数の子供のなかには,保護のない立場におかれると,強い不安におそわれ,その場から逃避しようとする非社会的行動が最近目立って増加してきている。

「登校拒否」の子供も,このような非社会的行動の一つとみることができ,こうした現象に,どう対処するかは,学校における今日的な大きな課題の一つになってきている。そこで登校拒否をどのようにとらえ,どう対処していくべきかについてふれてみたい。

(1) 登校拒否の定義

子供の側から登校拒否をみたとき,「学校に行けないもの」と「学校に行かないもの」の二つに大別することができる。

前者は,保護者の教育に対する無理解による欠席,怠学による欠席等であり,後者は,子供が何らかの理由によって,主体的に学校に行くことを拒否しているものである。登校拒否にはいろいろな定義づけがあり,広義に解釈すれば,前者,後者のいずれをも含めている場合があるが,狭い意味で,しかもわかりやすいものとしては,「心理的な理由によって学校を欠席する児童生徒のうち,登校刺激に対して,特異的にすくみ反応を呈するもの」一愛知県総合保健センター梅垣弘氏一があり,この定義がわかりやすいであろう。

(2) 登校拒否のタイプ

登校拒否の背景は複雑であり,その分類のしかたも,・発症経過,・症状形成要因,・症状発展段階,・拒否の程度,・形態などのいずれでみるかによってさまざまなタイプ分けが試みられている。

現在,学校現場でよく活用されているものは,前東京都立教育研究所相談部長小泉英二氏の分類であるが,この分類は,登校拒否の形態からみたものである。


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