学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-146/222page
対人不安や孤独傾向も解消され,Y-G性格検査によるタイプも,社会的内向,思考的外向,服従的因子に特徴をもつE´型から,抑うつ性小,気分変化小,劣等感小,神経質でない,攻撃的でない,社会的外向の因子に特徴を持ったD型に変容するにいたった。この性格の変化に対応するように,不安傾向診断検査においても,不安の対象,不安から生ずる微候をあらわす各々の傾向に,のぞましい変容をみせていることが指摘できる。特に大きな変容がみられたものに,対人的不安傾向が極度に消失したこと,本人の危険領域に属していた孤独傾向が,正常領域に戻ったことが特徴的なことである。この2つのプロフィールの変化から考えてみて,まさに,人間は自らの力で成長していくことを説明した事例ともいえるのである。