学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-157/222page

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になるように心がけなければならない。

司会者は,このようなことについて,事前に発表者に連絡するとともに,会の全体の流れをつかんで,適切な運営となるように心がけたいものである。

(5) 抽象的でなく,具体的に指導のあり方を求めているか

事例について,協議する過程において,枝葉末節にこだわったり,逆に,一挙に結論を出そうとして資料の分析が不足したりするということがある。

このいずれの場合も,事例研究会の進め方としては不十分なのである。

細かな資料が必要であると考えられる場合,資料不足でこれ以上の結論は出せないというのではなく,これだけの資料が補われれば,このような指導仮説が成り立ち,以後の指導上有効であるというように,常に前向きの発言を進めていくことが大切である。あるいは,一挙に結論を導き出す傾向になることは,分析の過程を軽視していることになり,重要な部分が抜けてしまうことを意味するので注意しなければならない。

(6) 意見のくいちがいを大切にしているか

参加者のそれぞれの意見や見解を述べれば,当然,くいちがいがでてくる。そのくいちがいを明らかにし,物の見方,感じ方の多様性を相互に理解しあうことが,より望ましい結論を導くための過程として重視されるようにしたい。そして,討論会ではないのだから,あとあとまで,感情的なしこりが残るようになったり,事例提供者を一方的に批判したり,非難したりするというようなことがあってはならない。また,過去の経験から,あるひとつの指導方法だけにこだわり,それを最善の方法として終始主張するようなことも,全体の進行と効果的な結論を導きだすうえには問題になるであろう。

このようなことを考えた場合,司会者や指導的立場にある者の適切な配慮が望まれるのである。そして,参加者の視野の拡大を図り,事例提供者にとって,プラスとなるように心がけることが必要なのである。


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