学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-156/222page

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ついで,一般に行われているように,学年会の一部を切りかえ,生徒指導担当者が加わり,成果をあげていくようにするのがよい。

いずれにせよ,全体の意欲がもりあがっていない段階で,担当者が一方的に呼びかけ,意義を説いても,お義理に参加していては,かえって問題が残り,以後の活動に支障をきたすおそれも考えられる。最初はごく少数の参加であっても,実践によって,その意義が認められ,関心が広がるようにすることが大切である。

(2) 事例の選択に問題はないか

事例の発表者の立場になると,成功した事例を取りあげ,できるだけ,ボロをだしたくない気持ちになりがちである。

生徒指導への理解の程度がまちまちである現状を考えた場合,発現する事例は,指導のほぼ完結したものよりも,指導の過程にあるもの,成功したものよりも,行き詰まりに」悩み,よりよい解決の方法を知りたいと願っているもの,複雑に入りくんだものよりも,比較的原因の分析がしやすく明らかなもの,というような事例を選択し,参加者全員が同一のテーブルにつき,率直に意見が出せるようなものを提出することが望まれる。

(3) 事例の内容についての秘密保持の原則が確認され,守られているか

会の開始にさきだって,秘密保持の原則を,参加者全員で確認することが必要である。しかし,よほど注意しても,あとになって,不用意に,あるいは,気づかずにもれてしまうことがあるので,子供に関することの秘密保持は,教師の倫理であることを忘れないでほしい。

(4) 司会者の会の運営に問題はないか

事例研究会において,時間的な制約から,深まりのある協議にならず,時間切れになることが多い。特に,事例の発表者が,概要の説明にどうしても時間オーバーをしてしまいやすい。そこで,要点を記したプリントは,事前に配布しておき,会のはじめに,要領よく,問題点をしぼって説明するようにしなければならない。また,この説明も,具体的であると同時に,客観的・系統的に行うようにしたい。よく,発表者が,自分の意見や感想と事実とを混同して説明している例も,かなり多くみられるので,両者の区別をはっきりさせた説明


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