親と教師の教育相談室-113/201page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

第5章
教科に関する相談
111.入学前の文字指導は
【問い】小学校に入学するまでに,どの程度文字を教えておけばよいでしょうか。

【答え】文字を本格的に学習するのは小学校に入学してからで,就学前の文字指導については賛否両論があります。ですから文字をどの程度教えておけばよい,という基準はありません。しかし現実には保護者の教育的関心の高まりや,社会の文化的刺激などによる早熟化現象もともない,かなりの文字を読み書きする幼児が増えています。
例えば,国立国語研究所の「幼児の読み書き能力」では「5歳児の70%の幼児は,平仮名清音のほとんどが読める」と報告しております。また最近ある教育研究所で,保護者や幼,小学校の教師を対象に「就学前にどの程度まで文字指導をしたらよいか」を調査したところ「自分の名前の読み書きと平仮名五十字の読み」は教えておきたいという回答が1番の高率で,これを目やすとしている人が多いようです。
文字を教える場合,幼児が文字に興味を示す時期は個人差があるということも考え「押しつけ指導」にならないようにすることが大切です。幼児の文字習得は「遊び」を通してなされ,カルタ,文字積み木,絵本などが重要な役割を果たします。これらの遊具を遊びのなかに生かして興味と関心を持たせ,子どもが疑問を持ったときに教えるという態度で,功を急がないようにしたいものです。
また文字に限らず直線,円,曲線,などを書くことにより,鉛筆の持ち方や書くときの傾斜,筆圧なども体験を通して会得させ,書くことに対する心理面や技能面の抵抗を取り除いておくことです。お子さんの情操や言語生活を豊かにするため,お母さんの「語りかけ」や絵本の「読み聞かせ」を積極的になさるようお勧めします。

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。