親と教師の教育相談室-179/201page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

176.現代絵画の見方
【問い】先日,小学5年の息子とともに現代絵画の展覧会を鑑賞する機会がありました。心はずませて会場に入ったのですが,いざ,作品を前にしてみると,理解できるものが少なく,子供の質問にも満足に答えることができず困ってしまいました。現代絵画の中でも,とくに抽象的な作品はどのような見方をしたらよいのでしょうか,教えて下さい。

【答え】最近は中央,地方を問わず,数多くの美術展が催され,手軽に見られる機会が多くなりました。その表現内容も多様で,具象絵画から抽象絵画まで,なかにはこれが絵画かと疑問をいだかせるような立体的要素の多い平面作品もあります。この多様さが,まさに現代美術の特徴なのです。また,現代美術は人間の生きる喜びに根ざしたもので,独自の個性的創造力を表した作品にこそ高い価値が認められるのです。
昔から「だれが見ても,良いものは良い」とよく言われます。しかし,現代美術は,感覚的な陶酔だけでは,その作品の価値は決定できません。作者が絵画表現を通して,何を意図し,何を言い表そうとしているかを読み取ってこそ現代美術の鑑賞と言えましょう。絵はまさにながめるものではなく読むもの,心で読み取るものなのです。
絵を読む1つの手がかりとして画題名があります。多くの場合,表現の内容を集約したものが画題名であると考えてよいでしょう。そこから表現の内容を探ってみるのも良い方法です。しかし,画題名が単なる作品番号的な意味で使われることもあります。
「昨日まで見えなかったものが,今日は見えた」その時の喜びは大きいものです。嫌いな作品があってもいいのです。自分の感性を大切に,「感じ,読み取る心」を十分養ってみて下さい。

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。