理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-035/139page
生するようになる。
3)砂鉄は激しい反応もなく塊にもならず,褐色になる。塩酸・硫酸にも反応しない。
4)鉄釘は表面が真黒になる。塩酸・硫酸では表面が褐色に変化しはがれ落ち,その後気体が発生する。褐色物質は塩酸に溶解してしまう。
砂鉄は酸化鉄であるために反応性に乏しいことに気付かせる。砂鉄を還元すれば,反応も活発になると考えられるので,次に砂鉄を還元してみよう。
〔実験4〕 砂鉄の還元
(1)方法
1)砂鉄の還元装置
耐火レンガ(イソライト)の一枚に約1.5cmの穴をドライバーであけ,そこに外径 1.5cm の鉄管をさしこむ。
図2のように耐火レンガ8枚で炉をつくる。炉の内側のすき間には,空気もれが少ないように粘土をぬりつける。
鉄管に足踏みふいごをとりつける。
2)炭火を炉に入れる。
3)砂鉄と炭を鉄製乳鉢で微粉末にし,よくまぜて蒸発皿に入れる。その上に小さくくだいた炭をのせて炉に入れる。
4)炉の上部に小さな穴をあけたレンガをのせて,足踏みふいごより空気を送り,炉内を高温に約10分程保つ。
図2 砂鉄の還元装置
(2)結果
変化はほとんどみられない。
実験4で得た砂鉄と鉄製品の性質を比較してみよう。
〔実験5〕 砂鉄と還元させた砂鉄の性質の比較
(1)方法
1)砂鉄と実験5でつくった還元させた砂鉄を 100ml ビーカーにそれぞれ約4g ずつとり,各々に 3M―HCl を 20ml ずつ加える。反応が終了したらそれぞれろ過する。
2)ろ液について鉄イオンの検出を行なわせる。
(2)結果と考察
砂鉄は気体を発生しないが,還元した砂鉄は気体を発生させてある程度溶解する。
以上のことより,砂鉄と鉄製品とが異なる性質を示す原因の一つが,砂鉄が酸化鉄であるためという結論が得られる。