理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-036/139page
(鉄の循環)
〔実験6〕 結晶硫酸鉄(2)の製造
スチールウールから鉄の化合物をつくってみよう。
(1)方法
1) 6MH2SO4 をビーカーにとり,スチールウール約3g を少しずつ溶解させる。
2)ビーカーの底に結晶が析出している場合があるので湯を少し加えてろ過させる。
3)ろ液をシャーレにとり,鉄釘2〜3本入れふたをして放置させる。
4)結晶が生成したら,残っている液は別のシャーレにあけ結晶を風乾させる。
5)生成した結晶を少量試験管にとり,少量の水に溶解させる。この液を2分し,一方には水酸化バリウム液を他方にはフェリシアン化カリウム溶液を少量加えさせる。
(2)結果と考察・留意点
1)一晩放置するか冷蔵庫に入れておくと淡緑色の結晶が得られる。
2)不快臭があるので通風のよいところか屋外で実施させた方がよい。
3) K3[Fe(CN)6] により濃青色沈澱, Ba(OH)2 により白色沈澱を生ずることにより生成した結晶には Fe2+とSO42− が含まれることを把えさせる。
〔実験7〕 結晶硫酸鉄(2)より鉄の回収
実験6でつくった結晶から再び鉄をとり出してみよう。
(1)方法
1)鉛筆を半分に折り,その上端と下端の木部を削り芯を出す。このようにつくった2本の木部が接するように絶縁テープで固定して電極にする(図3)
2)実験6でつくった結晶硫酸鉄を(2)を 100ml ビーカーに入れ水にとかす。
3)鉛筆芯による電極を入れ, 0.2A, 8〜10V の電圧をかける。
4)電源を切ってから電極を液の中で上下に動かし,電極についている鉄を落す。ろ過して生じた鉄をろ紙上に回収させる。
5)回収した鉄を 6M-HCl にとかし, 1%K3〔Fe(CN)6〕 を加えさせる。
図3 鉛筆の芯による電極
(2)結果と考察
すぐに陰極の芯に鉄が生成される。濃青色沈澱を生じ,鉄の生成が確認される。
製造した結晶より再び鉄を回収できたことを理解させる。また,砂鉄より結晶硫酸鉄を製造し,鉄を回収する方法を考えさせてみよう。