理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-079/139page

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3 海岸動物(磯)の調査

 調査地域が,岩礁帯か砂泥地であるかによって,動物相は異なってくる。採集・調査できるのは高潮線から低潮線までの潮間帯と潮上帯(飛沫帯)ぐらいまでである。大潮のころをえらび,潮間帯附近での観察・調査を行うとよい。

準備
 動きやすく,濡れたり汚れたりしてもかまわない程度の服装を用意する。磯での調査に素足は禁物,運動靴などをはき,すべらないように注意する。夏は帽子も忘れずに。
 かごビン,ビニール袋,管ビン,ポリ容器,輪ゴム,ピンセット,熊手,いそがね,ハンマー,ナイフ,水めがね(のぞき箱),たも網,温度計,ロープ,巻尺,ルーペ

方法

(1)調査する海岸地域をえらぶ。

(2)暦や潮位表を調べ,干潮の時刻にあわせて出かける。

(3)磯では全体を見通せるところから,海岸線の出入り,岩礁の状態,タイドプールの配置などに注意し,調査地域全体のようすを大きくとらえておく。特徴的な岩礁の配置,潮の干満による水位の変化などに注意し,スケッチによる調査地の略図を作っておく。

(4)干潮の2〜3時間前から観察・調査をはじめ,高潮線から低潮線付近へと進めていく。

(5)最干潮期をすぎると,潮が満ちてくるので注意する。岩礁地域での調査では,岩にとり残されることのないように十分注意しあうことが必要である。
 1)磯の動物の垂直分布を調べる
 ・波の状況,岩礁の凹突,附着藻類の状態などから,条件のちがった地点を何ヶ所か選び,グループで観察,記録していく。
 ・潮線を基準に,それぞれ上下 1m ぐらいの幅で生息している動物を調べる。不明なものはもち帰って調べておく。
 ・垂直分布のようすをまとめ,環境との関連についてまとめる。
 2)潮の干満による動物の移動を観察する
  移動する個体と,その場所に印をつけ,動き始める時の潮の関係,動きまわる範囲,動き方のようすなどを調べてみる。種類による行動範囲の差などにも注意して調査する。
 3)タイドプール(潮だまり)での調査
  タイドプールは,磯での絶好な採集,観察地点である。潮がひいても海水を保っていてプール特有の動物相がみられる。高潮線以上にみられるプールは一般に浅く,雨天時には淡水化したり,荒天時には波をかぶり海水を満たす。夏の炎天下では水分が蒸発して塩分が濃くなり,水温も上昇し,時には全く乾いてしまうこともある。従ってこの中に生息できる動物相もこれにつれて変化してくる。
 ・タイドプールの平面と断面を調べる。大きさ,形,深さ,水温の変化などを測ってみる。海藻や付着している動物,プール内にいる魚をたも網ですくって調べる。


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