理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-087/139page
9 火山灰中の造岩鉱物を調べる
1 ねらい
火山灰や火山砂は,その供給源である火山について多くの情報を提供してくれる素材であり,また,火山灰や火山砂に含まれている造岩鉱物の同定についての学習は,マグマの発生・火成岩・火山活動などを学習する内容のうちで最も基本的なものの一つである。
ここでは,近くの露頭から火山灰のような細粒の火山砕屑物を採集して,処理・検鏡の過程を通して,観察・分類の能力を育成するとともに,造岩鉱物組成からマグマの成分や火山活動の形式を推論させる。
2 準備
火山灰試料(採集場所,噴出源のわかっているもの),ルーペまたは低倍率の生物顕微鏡,磁化した柄つけ針,つまようじ(ピンセットでもよい),蒸発皿,スライドガラス,カバーガラス,約10%の塩酸
3 実習
(1)火山灰試料の採集
採集するにはスコップなどを用い,地表面についている汚れた部分をけずり取り,内部の新鮮な部分を,下部から上部へ50〜100cm 間隔で,300〜500g ぐらいずつ採集する。
(2)試料の処理のしかた
実験の分析精度は,処理方法(特に粒径)の違いによって,さまざまな結果になるので注意する。
1)水洗いの方法
試料を蒸発皿に1/4ぐらい入れ,水を加えて親指の先で軽くおしつぶしながら,くりかえし洗う。これに水を静かに注ぎ,赤っぽいにごりをかきまわして流し去る。再び,水を加えて,にごりがなくなるまでこの作業をくり返す。
2)ふるい分け
1/4〜1/8mm のふるいを重ね,その上に試料を置き,斜めに傾けて,上から水を注ぐ。最後に1/8mm のふるいに残ったサンプルを同定に使う。
3)脱鉄の方法
水洗いの終った鉱物の表面に付着している水酸化鉄,炭酸塩を取り除くために,約10〜20%の塩酸に残渣試料をつけて10〜20分温めてから,よく水洗して乾燥させ,観察用試料とする。