理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-088/139page

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(3)試料の観察

 1)ルーペや生物顕微鏡を用いた観察
  ルーペ観察は主として反射光で行われる。生物顕微鏡による場合,普通透過光で観察するが,ときには反射鏡の光をさえぎり,載物台に白紙を置き,その上に試料をのせてななめからの反射光で観察する。いずれの場合も鉱物の形,透明と不透明,色,表面の模様などを調べて,それらの個別性や共通性に注意して鉱物を分類し,検索表などによってそれぞれの鉱物の名をきめる。

 2)簡易偏光装置を用いた観察
  さらに詳しく同定を行うには,鉱物の光学性を分析的に観察しなければならない。そのために偏光装置が必要になる。ここでは生物顕微鏡にとりつけて観察できる簡易偏光装置の作り方をのべる。
  8cm×4cm 大の黒のうすい塩ビ板を2枚用意し,その中央部に直径2cm の穴をあける。偏光板を3cm平方に切り,2板の塩ビ板の穴をふさぐようにして,偏光板を上と下から狭みはり合わせる。これが下方の偏光子で,載物台の上に置き,その上にスライドガラスをのせる。
  次に35mm写真フィルムケースの底に,径1cm の穴をあけ,これに内側から偏光板をはり合わせ,接眼レンズの上にかぶせる。フィルムケームケースを回転させると十字ニコルにした場合と同じで鉱物の光学性が観察される。
簡易偏光装置

4 結果と処理

 1)観察される鉱物の多くは,ほぼ自形に近い結晶体をしているが,それらの破片や結晶の一部が欠損しているのもまざついているので,復元してもとの形を推論する。
 2)鉱物として石英・長石(多くは斜長石)などの無色鉱物)と黒雲母,角セン石,輝石,カンラン石,磁鉄鉱などの有色鉱物のうちのいくつかの造岩鉱物が観察される。
  このほか,火山ガラスや浮石・スコリヤの破片が多く観察される。
 3)結晶の形や表面の模様・色・透明か不透明などで,ある程度分類されるが,しかし,角セン石類と輝石類の区別が困難になってくる場合,緑色鉱物の仲間として一括して取り扱ってよいし,また,鉱物の光学性を用いて消光角・干渉色・多色性を調べ,さらに区分させてもよい。
 4)鉱物組成の図示
  鉱物を種類別に数えて,その百分率を求めて図示する。

鉱物組成表示法の一例
鉱物組成表示法


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