理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-093/139page
海食洞が形成され,それが残存するためには,洞周辺の岩盤の浸食営力に対する強度が問題となる。
岩盤の強度が,洞を残存させるために十分な場合,洞形成がどのようにおこなわれるかは,海食洞の洞形を調べることによって明らかにされる。
図1は,久の浜港付近の海食洞の横断面のスケッチである。左右の壁面は,この海食洞の形成が岩石の割れ目から始められたことを示している。
また天井の部にみられるノッチ状の形態は,岩石の構造などに支配されたものではないので,海水の浸食営力の変化と考えることができる。
図1 海食洞の断面
図2は,いわき市の豊間港付近にみられる海食洞の平面図である。
これによれば,洞床に角礫が認められる部分がある。これは横断面の形からも理解できるように,天井の部分から崩落したもので,海食洞が海水のエネルギーを受けないで拡大していくことがあることを示している。
図2 海食洞平面図(いわき市)(湯本高等学校地学部原図)
(2)海食洞の垂直分布
いわき海岸の海食洞の垂直分布を調べた結果は図3のようになる。海食洞が残存する条件はきびしい
図3 海食洞の垂直分布(湯本高校地学部原図)