理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-125/139page

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の中にたくわえられるのだとして,その本質にせまった(1844)。これを具体的に実験でたしかめたのが,ザックスである。

 ザックスのヨウ素試法(1864)
 植物体の同化組織中に,光合成の産物としてデンプンが生成されていることを,沃素デンプン反応でたしかめた。さらに細胞のどの部分で反応がおこるかを調べるため,顕微鏡で観察し,細胞内の緑色をした葉緑体でおこることを明らかにした。

 クロロフィルと葉緑体
・緑葉中の色素,クロロフィルと命名                   ペルチェとカベントウ(1818)
・クロロフィル a,クロロフィル b, カロチンなどの色素抽出       ストークス(1864)
・クロマトグラフィーによる緑葉色素の分離               ツウエット(1906)
・クロロフィルの物理化学的性質を研究,その化学構造を調べた  ウィルシュテッター(1913)
・クロロフィルの分子構造を決定                     フィッシャー(1934)

光合成における光の吸収

 エンゲルマンの実験―細菌法―(1882)
 光合成には光が必要である。日光はいろいろな波長光を含む。紫外線はオゾン層で吸収され,地上に到達するのは僅かであり,利用は可視光線の範囲とも考えられる。
 どの波長光が光合成に利用されるかを実験で明らかにしたのが,エンゲルマンである。
 スライド上にアオミドロをとり,好気性細菌を含んだ水を滴下し,カバーガラスで封じる。
 周囲をワセリンで封じ,一夜暗所に放置する。このプレパラートを顕微鏡ステージにのせ,プリズムによって分光した各波長光を照射し検鏡した。
 好気性細菌は,赤色光と青色光部に集まり,緑色光部はほとんど集まらなかった。

(問) 最初は各所に分散していた好気性細菌の分布が,異なってきたのは何故か。赤色,青色光部に集中してきたのは何故だろうか。

(問) プレパラートを一夜暗所においたのは何故か。

 実験結果から,好気性細菌が赤色光,次に青色光部に集合していることから,好気性細菌の集合部は O2 の放出が多く,従って,光合成がさかんに行われていると考えた。

 光の吸収はクロロフィルによって行われ,吸収された光エネルギーの特別な化学反応が利用されるのであるが,エンゲルマンは更にクロロフィルの吸収スペクトルを調べ,吸収された光がどの程度光合成に利用されるかを調べた。その結果,クロロフィルがよく吸収する波長付近の光が,光合成に最も能率的に利用されていることが明らかにされた。


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