理科学習指導資料小学校低学年理科の指導-082/116page
(2)自分たちで探してきた植物を使い、十分に活動にとり組ませたからである。児童はくりかえし、くりかえし汁を取り出し、飽きることなく、むしろ逆に汁をとり出す楽しさを味わうことができた。また、このくりかえしの中で、最初、汁をとることに戸惑いを感じていた児童も、色水のこさと水の量の関係や、その汁のもつ特徴をとらえることができた。
7考察
右の記録は、第4時の学習が終ったときに書いたE男とO男の感想である。児童はアサガオのたたきぞめから始まり、校外にまで出ていって汁のとれそうな植物をもとめ、色本づくりをやっていく中で、単元のねらいにせまるとともに、自然に親しみ、植物に接する楽しさを味わうことができた。
以下、その原因を含めて、3点から考察してみたい。
(1)児童の意識や意欲にささえられながら、授業を進めてきたからである。たとえば、第2時の学習では、校庭にある草花を使って植物の汁をとり出した。この授業で児童は、植物の体の中に含まれている汁の存在を体験し、その色のきれいな様子に驚いている。花の色が、とれた汁の色と同じ色であることを大部分の児童がとらえることができた。しかし、この段階ではまだ植物の汁は、花びらからとれるという意識が大部分であり、実態調査にあるように葉や実にまでは意識が向いていない。
しかし、信夫山に行き、自然の中で汁のとれそうな植物を探す活動では、31人もの児童が葉や実に目を向けて行った。途中で虫などの生きものに興味が移ってしまったり、やぶの中を歩くのを楽しんだりする児童もいたが、思いきって学校からとび出し、校外で活動したことは、児童たちの意識を葉や実に向けさせる上で有効であったといえる。
E男の感想
0男の感想
(3)活動を何度も重ねる中で、植物の汁に対する見方を広げていったからである。はじめは汁の色、色水の色にしか目を向けなかった児童も、汁の色と植物の色との関係に気づき、やがて、においや手触りなど、五感をフルに活用した見方に深まっていった。植物の汁や色水を見て、逆に植物を見直すというように、植物に対する見方も変えることができた。