先端技術をとり入れた理科(物理領域)に関する教材・教具-002/47page

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ン型学習理論モデルと名付け、論文を発表註3した。これについての解説は、文部省視学官及び教科調査官が記述註4している。
 次に生じた課題は、学校の実態や生徒の実態との関連と、調和のある学習指導の体系作りであった。これは筆者の前任校での授業実践と授業研究による授業の評価を軸にしての取り組み註5となった。そして更に、サイクロトロン型学習理論をもとにして、個を生かす小集団授業の見直し註6を行った。
 これを手がかりとして、新教育課程における理科学習の展開と取りくみ方註7註8についての考え方を提示した。
 これらの一連の研究の流れは、実践を土台とした教科学習のマネージメントが主領域である。次のねらいとする連続した発想能力を育てるには、生徒自身の内にあって、教師が方向性を与えることのできる内部エネルギー……即ち内発的なエネルギーを増大させるための教材・教具のあり方である。それに沿って開発したものを、学習の場に適切な方法で提示するという一連の行為が、先のマネージメントと共に車の両輪となって、学習の成立を確実にするであろう。
 主体的学習を促せるかどうかは、やはり教師の開発能力にかかっていると言えるのではないだろうか。

2.サイクロトロン型学習理論による教材・教具の位置

 ここに一つのモデルを設定する。ここでいうモデルの性格とは、理科教育の構造や、それを支配する要因を考察して、更に、機能的に高める方法をまず仮定し、現実の学習場面でこのモデルがどのように適した場面を作るか、そして、効果的なはたらきをし、事実に合うかどうかを調べることによって、真の構造と法則化が可能かどうかを見い出す努力をすることにある。
 最初に考えたモデルが事実に合えば、理論としての役割を果たすことになる。註9
 しかし、教育は外的要因や内的要因としての場的、人的、時間的要因などの他にも複雑な相互作用がある。したがって、何から何まで実際の場にあてはまるモデルを作ることはおそろしく困難である。粗っぽい近似ならば何とか結果はだせるが、何の意味も持たなくなる。
 そこで理科教育、持に、物理教育の一つの側面を強調したモデルを示したわけである。
 このモデルを提出したのは、文部省高等学校教育課程講習会理科部会の指定発表のときであった。席上、視学官から「教有界では種々のモデルが出されるが、言うなれば理論家のオモチャである。しかし、そのオモチャが事実の側面を非常によく説明し、その底にひそむ法則をわからせるものであるならば価値がある」と感想が述べられた。以下に詳述するのは筆者の物性論的教育観という側面からである。
 さて、高等学校新入生の教室での一週間は、机にきちんと並び、だいたい例外なく完全に整列している。まるで、原子が規則正しく並んでいるような姿である。(結晶学の論文によれば、完全な結晶は存在せず、人工的に作ることもほとんど不可能である。)また、静かであるという事は、内部にひそめたエネルギーはもっか、外に運動という形で表


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