第2回全国研究集会報告書-017/60page
個の学習スタイルを生かす国語科学習指導について
広島県立教育センター 指導主事 佐々木伸考
1.研究の趣旨
平成元年3月に告示された新学習指導要領において「学校の教育活動を進めるに当たっては,(中略)個性を生かす教育の充実に努めなければならない。」と述べられているように,個性重視はこれからの教育の一つの方向性を示すものといえる。国語科においても生徒の個性をとらえ,それを生かす学習指導が求められる。
個性をとらえる視点としては,学力,興味・関心等さまざまなものが考えられるが,本研究においては,近年,認知心理学の発達にともない注目され始めた学習スタイルに焦点を当て,学習スタイルを生かす国語科学習指導の在り方を追究する。
2.研究の内容
本年度は,中・高等学校において,国語科の理解,表現にかかわる学習スタイルのアンケート調査を実施するとともに,次のような仮説を設定し,その検証授業を通して生徒の学習スタイルの実態に迫りたいと考えた。
(1)文章を読んで理解するとき,帰納的理解スタイルの生徒と演鐸的理解スタイルの生徒とが存在するであろう。
(2)帰納的理解スタイルの生徒は,帰納的な授業展開のときの方が意欲的に取り組め,よく理解できるであろう。また,演繹的理解スタイルの生徒は,演繹的な授業展開のときの方が意欲的に取り組め,よく理解できるであろう。
(3)帰納的理解スタイルの生徒は,帰納的な文章を書くときの方が書きやすく,意欲的に書けるであろう。また,演繹的理解スタイルの生徒は,演繹的な文章を書くときの方が書きやすく,意欲的に書けるであろう。
3.研究の方法(略)
4.仮説に対応してのまとめ
(1)理解スタイルについては,4分の1強の生徒が帰納的または演繹的スタイルである。(以下略)
(2)中学校では,はっきりしなかったが,高等学校では仮説(2)の傾向が認められた。
(3)中・高等学校とも,表現スタイルの選択,表現意欲,書きやすさといった面において,両者の間にほとんど相関は認められない。
5.今後の課題(略)