第2回全国研究集会報告書-020/60page

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個性を生かし,個が生きる教育指導の在り方に関する研究

第一年次 ―個を生かす教育指導における調査研究― (教科)

宮城県教育研修センター 指導主事 太田四郎

1.研究の趣旨

 昭和58年の第13期中教審の経過報告に始まり,臨教審,教課審を経て,昨年3月15日に新学習指導要領が告示され,21世紀に向けての教育改革か本格的に開始された。その視点として,臨教審の答申で示された,個性重視の原則,生涯学習体系への移行,変化への対応の3点が挙げられ,とりわけ個性重視の原則は,今次教育改革のすべてに通じる基本的な原則とされている。国際社会の中での我が国の立場,画一的,閉鎖的学校教育がもたらした弊害の打破という二つの観点から,創造性に富む個性的人間の育成や人間尊重の精神による個々の子供への教育指導の在り方が強く望まれているものと思われる。

 そうした考えに基づき,当教育研修センターでは,昭和59年度以来の個別化教育に関する研究や自己教育力を育てるための実践的研究の成果を踏まえ,本年度より3か年間,全教連の共同研究に合わせて,「個性を生かし,個が生きる教育指導の在り方に関する研究」を主題として実践研究を進めることにした。

2.研究の計画

(1)1年次は,主題を「個を生かす教育指導における調査研究」とし,理論研究と調査研究を行うことにした。理論研究では,主に,全教連の「人間総体」としての「個」とは何か,「個を生かす教育指導」はどうあらねばならないかについて研究し,2年次の授業実践のための基礎理論を構築すると同時に,研究の方向付けをする。調査研究では,県内の小・中学校及び特殊教育諸学校を対象にした「個を生かす教育指導」の実態と意識の調査をまとめ,指導の在り方を提言する。

(2)2年次の主題は,「個を生かす教育指導の実践研究」で,前年度の理論研究と調査研究で明らかになったことを踏まえて,それらが学校教育の中でどれだけ実践可能なのか,また,有効性があるのかを探るために,各教科において授業設計をし,実践研究を行う。

(3)3年次は,「個を生かす教育指導における評価」という主題の下に,実践研究において検証されたことに基づいて,評価の面から「個を生かす教育指導」の在り方を研究し,実践する。

3.研究の内容

 「人間総体」としての「個」を,集団と個のかかわり合いという点で捉え,「個性」は,「認知的側面,情意的側面,技能的側面」から押さえ,更に,「伸長,受容,援助,指導」という4つの観点で「個に応じた」指導法を工夫する。特に,教科においては,個を見極め,個の活動が集団の中で生きるような指導の配慮と工夫が授業展開の中で創造されるべきであると考える。


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