第2回全国研究集会報告書-021/60page
読み取りの違いを生かした読解学習の在り方
岩手県立総合教育センター 研修主事 石田紘子
1.研究の趣旨
本来,人間が言語によって理解する内容には,全ての人が共通に理解しあえる一般的な意味内容と,個々の人間がそれぞれの経験や思考などを伴って理解する独自的な意味内容があるといわれている。したがって,児童生徒に文章を読み取る力を身に付けさせるためには,意味の共通性に基づいた正確な読み取りをするようにさせると同時に,児童生徒一人一人の読み取りを認め育てながら,より豊かで独自的な読みに高めていくという理解の能力を身に付けさせることが必要であると考える。
そこで,この研究では,児童生徒の読み取りの違いを学習の対象として重視し,授業の構成に積極的に生かすことによって,一人一人に読み取りの違いを豊かにする態度を育成するとともに,読み取りを確かにさせる読解学習の在り方を明らかにしようとするものである。
2.研究の仮説
物語文の読解学習における,基礎的基本的能力を形成する過程において,作品の価値にかかわった,児童生徒の読み取りについて,その異なる点を明らかにするとともに,共通する点をも発見するように作成した学習シートを用いた学習活動を行えば,児童生徒は文章を複数の角度から検討するようになり,確かに読み取る力が育つとともに,自分とは異なる読み取りを参考にしながら,自分独自の読み取りを豊かにしていこうとする態度をもつようになるであろう。
3.研究の内容
(1)読み取りの違いを生かす読解学習の基本構想
ア 教材の価値にかかわった読み取りの違いのとらえ方
イ 児童生徒の読み取りの違いを生かす指導の意義
ウ 児童生徒の読み取りの違いを生かす読解学習の基本構想
(2)個々の読み取りの良さを構成する要素
(3)読み取りの違いから良さを学ばせる指導試案
ア 読み取りの違いから良さを学ばせる指導試案作成のための実態調査
イ 読み取りの違いから良さを学ばせる指導試案
(4)授業実践及び結果の分析による,指導試案の妥当性の検討(平成2年度の研究内容)
(5)読み取りの違いを生かした指導の在り方についてのまとめ(平成2年度の研究内容)
4.研究の結果
教材の価値とかかわる児童生徒の読み取りの違いを,意図的に授業のなかで生かし,読み取りを確かにしながら独自的で豊かなものにしていくための指導試案を作成することができた。