第2回全国研究集会報告書-022/60page

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「学習の仕方」に関する研究

―子どもの「わかり方」について―

島根県立松江教育センター 研修主事 内藤忠久

1 はじめに

 個性を重視した教育が必要であると言われている。そこで,授業場面における子どもの思考の中味に少しでも接近して,子どもがどのようにして「わかる」のかを解明し,子どもの「わかり方」を踏まえて,指導を改善しようと考えた。

 図は,認知心理学的な知見を拠り所にしてデザインしたものである。われわれはこの図式を「学習の仕方のモデル」(詳細略)として,授業中の子どもの心の中を洞察しようと考えた。
認知心理学的な知見を拠り所にしてデザインしたもの

2 研究の概要

 小学校三年「国語,社会,算数,理科」の授業をVTRで収録し,プロトコール分析した。それぞれの授業において,子どもが教師の提示する課題のどこに,あるいはどのように着目しているかについて考察した。その結果,次のようなことがわかった。

 子どもは,教師の提示する課題に対して,「正答しよう」とばかり考えているのではない。子どもは課題や学習の場の状況に対して,「よさ」や「おもしろさ」や「有用性」などの直感的な意識を持つ。そして,自分の経験,自分の既有の知識を背景にして思考する。そのとき,必ず特定の「視点」を設定している。

 このような考え方にたって,授業中の子どもの言動を観察してみると,その子どもなりに実にみごとで合理的な思考の結果である。

3 まとめ

 子どもに,「課題や場の意味,構造,解決方法を捉えるためには,どんな視点を設定すればよいか」という気持ちを持たせながら,順次,視点を移動するように働きかけ,一つのものごとをいろいろな視点から捉えさせるように仕向けることが,子どもの「わかり方」を踏まえた学習指導の改善につながると考える。そして,最終的には,「わかる」という気持ちを獲得させることを目指して,様々な視点を統合させるように仕向けることが望ましいと考える。

 現在,以上のような考えに立った授業研究を継続中である。


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