第2回全国研究集会報告書-033/60page
事例を通した教育相談の進め方に関する研究
―予防的な指導援助―
福島県教育センター 教育相談係長 阿部貞夫
1.研究のねらい
児童生徒の問題行動が増加の一途をたどる昨今,問題行動を起こしている児童生徒に対して治療的な指導援助の手をさしのべることは急務であるが,問題行動を起こすことが予測される段階でその発生を未然に防ぐための予防的なかかわりをすることも更に大切なことになろう。
そこで本研究は,教育現場において問題行動を起こすことが予測される児童生徒に対する適切な対処の仕方を確立し,積極的な生徒指導・教育相談の推進のために十分貢献できるようにすることをねらいとして進めてきた。
2.研究の経過
[第1年次]
予防的な指導援助についての基本的な考え方をまとめた。
○「予防的な指導援助」のとらえ方を明確にした。
問題行動を起こすことが予測されると診断された児童生徒に対して,問題行動につながる素因や誘因を改善・解決または除去することである。
○「予防的な指導援助に必要とされる12の要点」とそれを具体化した「基本的対応」を明らかにした。
1)指導者の姿勢 5)ラポールの形成 9)学級全体への予防援助 2)子供についての理解 6)資料収集・予測診断・予防仮説 10)予防体制 3)問題行動についての理解 7)本人への予防援助 11)フィードバック 4)問題点の気づき 8)家族への予防援助 12)予防援助の終了 [第2年次]
第1年次における「予防的な指導援助に必要とされる12の要点」と「基本的対応」の有効性を確認した。
○「12の要点」と「基本的対応」に「対応例」を加え,手引の形で具体化した。
○予防的な指導援助における効果的な調査・検査の在り方をまとめた。
○以上をもとに,学校において予防的な指導援助の実践を通して確認した。
3.まとめ