第2回全国研究集会報告書-038/60page
学校教育目標の具現化に関する研究
―「個を生かす」指導のための共通理解を図る手立てを中心に―
岩手県立総合教育センター 研修主事 藤枝剛
1.研究の趣旨
この研究は,全教連共同研究のテーマである「個を生かす教育指導の在り方」を学校教育目標の具現化という側面から究明し,学校経営の充実を図るための一助にしようとするものである。
具体的には,学校教育目標・教育計画の具現化のための教師間の共通理解にかかわる問題点と課題を「個を生かす」という視点から把握し,それらの分析・検討に基づいて,個を生かす指導の具体的な方策についての教師間の共通理解を図る手立てを事例的に明らかにするものである。
2.研究の内容
(1)現在策定されている教育計画及び教師間の共通理解にかかわる実態把握とその検討教師間の共通理解にかかわる阻害要因及び問題点や課題を調査結果をもとに分析・検討する。
(2)「個を生かす」という視点からの学校教育目標の具現化のための基本構想の立案教育目標の具現化の要件を経営的側面と指導的側面から吟味し,基本的構想としてまとめる。
(3)個を生かす指導の具体的方策についての共通理解を図る手立ての試案作成
1)共通理解を図る基盤としての組織・運営の在り方 2)教育目標との関連を図る教育計画の作成の仕方 3)具体的な実践活動を促す指導の場・方法の工夫,改善の三つの側面に焦点をあて,教師間の共通理解を図る手立ての試案を作成する。
3.結果と考察
2年次研究の初年度である本年度は,教師間の共通理解の阻害要因の究明と「個を生かす」指導の具備すべき条件の吟味を中心に研究を進めた。その結果,(1)教育目標と具体目標との関連(2)学校・学年・学級経営の一貫性,系統化を図る必要性のあること,また「個を生かす」指導に不可欠な要件としての児童生徒理解及びそれに基づく指導方法の工夫の必要性などが明らかになった。
これらをふまえて,具現化のための基本構想を立案し,さらに,指導の具体的方策についての教師間の共通理解を図る手立ての試案を作成した。
4.まとめ
(1)教師間の共通理解の阻害要因の検討を通して,学校の経営計画,教育計画の具備すべき条件と具現化のための要件を明らかにすることができた。
(2)教育目標の具現化の要件としては,目標達成を図るための組織・運営的環境と目標の具現化を図るための指導方策の両面が大切であり,これらを軸にした基本構想を立案した。
(3)「個を生かす」指導を実現するためには, 1)個を大切にする経営理念 2)個の理解に立った教育計画 3)個の特性を生かす教育実践を基盤に捉える必要のあることなどが確かめられた。